我々は栗東芸術文化会館さきらの暴挙によって一部中止をさせられた
「026-METAL」の再演の実現に向け動き出します。

我々は栗東芸術文化会館さきらの暴挙によって一部中止をさせられた「026-METAL」の再演の実現に向け動き出します。

私は今回の我々との協議中に同時進行でさきらの別スタッフが電話、メール、看板立て、チラシの配付というあらゆる方法で中止を発表するさきら側のだましうちと、音量に関する近隣マンションからの苦情をたまたま来ていた台風のせいにする捏造・事実隠蔽による公演の強制中止という、彼等の行為に関して心底憤っていますし、それは公演から2週間強を経た今でも全く収まる事はありません。
しかし今、その事の糾弾を声高に叫ぶ以上に、「026-METAL」という公演の再演に向けての話を皆様にしたいと思っています。

その主な理由としては

1、今回公演を観る事が出来なかった観客の皆様への責任の取り方としては、別の機会を作る事でしかありえない。
2、我々はアートに携わっているのであり、その立場での勝ち取り方を考えるべき。
3、さきらとのこの問題を、単にNUMBERING MACHINE対さきらの喧嘩と矮小化、風化させたくはない。

というものが挙げられます。

1に関しては、正直完璧な対処方法ではありません。否、完璧は残念ながらあり得ないです。
公演は一期一会のものですし、どんな形を取っても、観る事が出来なかった、帰されてしまった観客の方々への言い訳は出来ません。
再演したからといって、その時に来てくださるか、来る事が出来るかはわかりませんし、再演となれば内容も当然いじり、異なるものとなる事となります。
しかし、これが精一杯の誠意を見せる方法だと考えています。

2に関しては、我々なりの勝ち取り方をずっと考えていました。
仮に追求をして、さきらが非を認めた・謝罪したとしても、それが何になるのか。
我々はアートに関わる人間です。ならば今回の事件を逆利用してでも、再演の機会による公演の発展や成長の為の機会にすべきと考えます。
今回があるからこそ、「026-METAL」をツアーで上演出来るような進展に持っていこうと思っています。

3。今回の問題は、実際に音量へのクレームがマンションから来ていたり、台風が直撃する可能性はあったりと、状況を知らない方には伝わり難い問題となっている部分があります。
しかしながら、問題の根は、さきらに止まらない公共ホール、更には出来上がってしまっている日本のシステムにあると考えます。
前提として、音量の問題は、我々の栗東入り前から、何度も何度もさきら側の担当者に「問題はないですか」と問い協議していますし、具体的にも我々の公演を何度も観、要求する音響機材からもさきら担当者はわかっている筈です。
もっと言えば、私の想定以上の音量の公演を例に出し「こんなイメージなんですよ」と言われ、「否、今回はそんな大音量のノイズや爆音は狙ってはいませんよ」と逆に私が説明した経緯がある位です。
その上で了解を貰い我々は公演にGOを出し動いています。
それが、現場で起きた一部のクレームによって、今までは一切話に参加していない、参加しようとしない上層部が強引に介入し、強制をしてくる。
彼らはアートになどは関心の無い官民から移動してきた職員です。問題など無いとしたい、ある問題は隠蔽したい、だからたまたま来そうであった台風を利用してくる。
アートを創る人間、アートに関心を寄せ観る事を期待する人間の思いなど、全く理解はしません。
ですから、平気で人を踏みにじります。人の営為を殺そうとします。人を殺そうとします。その事に全く無自覚です。
正直私は、今回のさきらの暴挙を現場で受け、彼等に対し直接的な暴力に訴えたいという衝動にもかられましたし、さきらで自決してやろうかとの考えも頭をよぎりました。
しかし、NUMBERING MACHINEのスタッフのみならず、「さきらが集めた」公募スタッフ皆が涙を浮かべながら、長期に渡って創ってきた作品を上演したいと言ってくれた事は本当に切実な事でした。20〜50代の大の大人が大勢これほど真剣に悔し涙をみせた事など私は経験がありません。
その悔し涙は、自分の営為が報われないからというより、皆で創ってきた事、観客の方々をも含めた思いが含まれています。自分事を超えていました。皆。
さきらを潰してもその意味は極めて薄い。これが公共ホールの、翻れば日本の現状だと思います。
その事を伝えるには糾弾に止まらない、前向きな再演計画の中で話を継続していく事の方が有効だと考えています。その方がしつこく粘って活動が行えもします。

再演計画への道はそう簡単ではありません。
主に予算と場所の問題は大きいです。
公的な助成金の申請、各種企業への協賛金の協力要請は行っていきますし、主催してくださる所を探す、METAL基金的なものを考え一口いくらかで賛助者を募る、入場者を増やし入場料収入を増やしていく、これまでの活動及び今回の公演を経た事で以降の公演のオファーが来た所など各地へのアプローチ等々考えられる事はたくさんあります。
でもまだまだ足りません。しかし人の力で思いもよらぬ方向へ動く可能性はあると思います。
関心を寄せてくださる方々是非知恵を貸してください。

まずは、滋賀(若しくは近県)及び東京での報告会、ビデオの上映会を年内に企画しようと思います。
ダンス、演劇、美術、音楽etc。幸いにして今回の企画にはジャンルに捕われない多くの人々が関わっています。
それらに興味を持つ人々が集っての報告会です。
これも糾弾に止まらない、我々の創った作品をビデオという形ではあるけれども観て頂き、楽しんで関心を持って貰えるような会にしたいと思っています。

勿論一方で、さきらへの観客の方々に対する説明責任はあり、その追求は質問状などの手段で追求していきます。
法的な手段も視野には入れています。

兎に角、私はさきら潰しでもさきら教育にも終わらない実のある戦い方を望んでいます。
「026-METAL」という皆で創った作品と、その作品を創った皆との関係は本当に誇れるものだと思っています。


2004年10月29日

丹野賢一
(2004年10月30日に一部文法的誤り、誤字脱字などを修正。内容の大きな改変は一切していません。)